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残り6作でございます!
こちらはシグはやだけではなくてヴィータ×シャマルもあります!!

ええ、暴露します。

私が鉄騎は医務官が好きでもいいと思うんですよって言いました!!(敬礼

そしたらそれを入れてくれたたきさん!
こんな節操無しの言い分取り入れて下さってありがとうございます!



では、続きからどうぞ!















「あ、主(はやて)が倒れただとぉ!!」
「相手は、何処の誰だ。レヴァンティンの錆にしてくれるわ」
「シグナム、あたしにもやらせろ。アイゼンの染みにしてやる」
「お、落ち着いて、二人とも!!」
即座に騎士甲冑を纏い血相を変えいざ敵を討たんとするシグナムとヴィータ。
ソレを抑えるのは、シャマルだが………どうも、心許無い。
「コレが、落ち着いてなど」
「そうだ、シャマル。はやてが倒れたんだぞ」
息巻く二人は、シャマルの次の一言で沈下した。
「はやてちゃんが倒れたのは過労よ」
「過労?」
「お前がいながら何故そのようなことになる」
然し、二人は騎士甲冑の侭シャマルに詰め寄る。鬼気迫る迫力に涙目のシャマル。
このままでは、味方による撃墜という不名誉でシャマルの生命が危ぶまれる。
「落ち着け、将、鉄騎。主が目を覚まされた。何か御言葉があるだろう」
其処を救ったのは、普段は全く喋らないザフィーラだった。
「あぁ、そうだな」
「うむ、待とう」
そうこうしているうちに、治療室の向こうからはやてが出てきた。
「心配かけてもうたなぁ。堪忍」
家族の姿を見つけると幾分か罰が悪そうである。
「主はやて、どこか具合が悪く倒れられたのですか?」
「大丈夫かよ、はやて」
先ほどまでシャマルに迫っていたとは思えないほどの情けない顔になる二人。
此処は治療室の前………何度も言うが、騎士甲冑は纏ったままである。
「うん、病気やないねんけどな」
言いよどむ。
「驚かんといてな」
何度もそう念を押し、蚊のなくような声で告げた。
「赤ちゃんがおなかの中に居るんよ」
瞬間の沈黙。
「は、はやて、誰の子だ!!」
先ほど同様に騒ぐヴィータだが、隣のシグナムは沈黙を守ったままだ。
「(子ども………?)主はやて、失礼ながら人の子ですか?」
しばらく黙考していたシグナムの口から出てきた言葉は、失礼極まりない言葉だった。
「私は、人間やよ。やから人の子どもや」
「そうですよね、とんだご無礼を。主、そのものの心当たりはおありですか?」
「………みんなもよう知っとる人やけど」
4人の守護騎士が息を呑む。主が子どもを身篭ったとなればその相手もまた主と同等。
主は、熟考される方だから心配はしていないとは言え不安は募る。
「はやてちゃん、良ければ相手を教えてくれないかしら」
「教えなあかん?」
「主、無理はなさらずに。言いたくなければ構いません」
はやては、恥ずかしそうに頬を染め小声で呟くのだ。うっかり聞き逃しそうになるほどの。
「シグナム」
「はい、何か?」
再び沈黙していたシグナムが、主に呼ばれ無意識的に返事を返す。
はやては、意図が伝わっていなかったのかと溜息を吐いて一気に言い切った。
「やから、私のおなかの中に居る子の父親はシグナムやって」
「「「!?!?」」」
主の衝撃発言に、三人の守護騎士は絶句しもう一人は固まっている。
どうやら、思考回路はショート寸前のようである。
「それ、ほんとなの?」
「シグナムしか知らんし」
そういえば、二人は恋人同士だったのを今頃になって思い出すシャマル。
(プログラムが、人をしかも主を身篭らせるとはね………流石は、我らのリーダー)
このまま此処で家族会議に雪崩込むわけにも行かず家に帰る八神家一同だった。
「なっ!?私が!?主のおなかの子どもの父親だとぉ!?」
家に帰ってくると、此方に漸く帰ってきたシグナムが吼えた。因みにはやては、入浴中。
「はやてちゃんが言うには、そう言う事よ」
「なんとお詫びしてよいかも判らぬ、かくなる上は腹を切るか」
未だ騎士甲冑のまま、レヴァンティンを怪しげな目で見つめるシグナム。
「………何でそうなるのよ」
「いや然し、主に不埒を働いた不届き者には相応の罰が必要であろう」
呆れ顔のシャマルに、当然のように返すシグナムだがそんな事をしたら………
「はやてちゃんが悲しむわよ」
「うむ、ソレは避けたいが………しかし、なぁ」
まさか、自分が主との間に子を設ける日が来るなどとは露とも思って居なかったようだ。
悩んでいるシグナムをよそ目に、シャマルはヴィータとザフィーラに念話を飛ばす。
(御目出度いことなのだけれども)
(シグナムの奴、何時の間に)
(うむ、恋人同士ではありえぬ話でもないのだが………)
二度目になるが、シグナムは元・プログラムである。はやては、人であるが。
「えぇお湯やったわ」
今後のことを念話で話し合うヴォルケンリッター(将不在)たち。
「あ、主」
「どないしたん、シグナム」
湯上りのはやてを見つけ、シグナムがはやての元に駆け寄り跪いて………
「もう一度お聴きします、その子は誰との子ですか?」
爆弾を落とした。
「え?」
騎士甲冑を装備したまま、跪くその姿は様になっている。様になってはいるのだが―――
シグナムの発言に、凍り付いていたはやてが漸く解凍されたようだ。
「シグナムしかおらへんのに私が嘘をついてる思ってるん?」
「いえ」
「せやけど」
あの物言いでは、不貞を働いているのではないかと疑われているのも同然だ。
「嬉しいのです」
「あ」
予想の遥か斜め上を行くシグナムの言葉にはやての目が見開かれ。
「はやて、どうかその子を産んでください」
「ほんまに?」
「親というものが何か判りませんが、未熟なりに勉強しますので」
「嬉しい、おおきに」
ボロボロと涙を零すはやてに、そっと寄り添うシグナム。
「家族と認知されている以上、婚姻は出来ませんが生涯側にいると誓います」
「シグナム………」
「何が起こっても、貴女と子どもを守り抜きます。だから安心してください」
こうして、ヴォルケンリッターの騎士たちが見守る中プロポーズをしたシグナム。
はやての出産時に、シグナムが右往左往していたのは又別の話である。










シグナムと恋人同士になって数ヶ月がたった。だけれども。
(キスの一つもしてくれへんのはどういうことやろか)
少し不満が有る。容姿も性格も難を付けるところなど何処にもないのだが………
恋人に見られていないのだろうか?自分ではそのような感情は湧かないのだろうか?
(不安や)
こうした日々を最近は過ごしている。溜息を付く回数も増えた。
シャマルには、早々にばれてしまった為に苦笑されるばかりである。
「はやてちゃん、自分から行ってみては如何ですか?」
シャマルからの助言に、ソレを想像して赤くなる私。
(恥ずかしすぎて、死ねる。シグナムは如何思ってるんやろか?)
頼んだら案外平気でしてくれそうだが、はしたないと思われないだろうか。
乙女心というものは複雑すぎて自分の立ち位置が偶に判らなくなる。
「主、散歩に出かけませんか?」
「え、うん」
シグナムからの誘いをはやてが断れるわけもなく、二人で散歩をしている。
「愛しているから、心配しないでくれないか。はやて」
きれいな景色の見える公園で、不意に後ろから言葉が降ってきた。
はじかれて後ろを向いた瞬間に抱き寄せられて、口付けられた。
「………」
衝撃的な言葉と行動に、気を失いそうになったのは此処だけの話だ。










闇の書と呼ばれ、己さえ何なのか判らない。そんな日々が長く続く。
未来永劫、転生は続く。闇の書が、根本からその力を喪わない限り。
今代の覚醒のときは近い。さて………今代の主は如何な主か。
「シグナム」
「シャマルか」
「眉間に皺がよっているわよ」
「平時の顔だ」
「………次の覚醒先は、平和そうよ」
「そうか」
平和など、おそらく我らが顕現した時には亡きものになっているのだろう。
一騎当千の戦騎、烈火の将シグナム。ソレが私というプログラムなのだから。
そう、あの命運の時。
「じゃぁ、みんなの衣食住の面倒見るのが私のお仕事やな」
本から人の形をした何かが、出てくるという椿事に気絶こそしていたが。
(シャマル)
(如何したの?シグナム)
(今代の主は、心から慕える御方かも知れぬ)
(そうね)
念話を飛ばしながらも、シャマルのその同意と優しそうな声色が残っている。
我らもまた蒐集をしないという前代未聞の主の命を受け入れ、穏やかに暮らしていた。
「何故だ!!」
「シグナム」
「何故、あの御方が!!」
「此処は、病院よ。落ち着いて」
今代の主、八神はやては家族として我らを認識してくださっていた。
初めこそ、戸惑いを隠せなかったが主は相応の愛情を我らに与えてくださった。
だからこそ、騎士の誇りと己の命にかけて誓ったのだ。
蒐集行為をせずに、闇の書の完成も望まないという主に対してソレを守ると。
そうして、平和に暮らしていけると思っていたのだ。何時までも。
「シャマル、我らは矢張り戦を連れてくるだけの厄介者ではないか」
「シグナム」
「主はやての御命の為だ。蒐集を開始する。依存はないな」
「シグナム、貴女の言う騎士の誇りは?」
「騎士の誇りで主が救えるのならばそれでも良いが、そうもいかない」
騎士の誇りなど、捨ててしまえる。主を失いたくはない。
「喪いたくないのだ。あの御方を」
「シグナム………」
「総て終わった暁には、主はやてに総てを御話し不忠を詫びて逝く心算だ」
密かに蒐集しようと、何れは主にわかってしまうだろう。
わかった時点で、総てを話し不忠を詫び一人で逝く覚悟はある。
「蒐集が判っても共に有ろうとは、思わないの?」
「蒐集行為の中で、対象を殺めるかもしれない」
血塗られた手で、主はやてに触れることなど赦されるわけがない。
「………」
「幾度となく、戦火に生き最早憶えてもいない人数を蒐集のために奪ってきた」
手が震えているのは、恐れからか。主はやての知る所となったそのときを考えてか。
それとも、過去に仕出かしてきた蒐集行為を今更ながらに悔いているのか。
「我らが、主はやての御体を蝕み続けているのだ」
闇の書のプログラムであること。闇の書と同体であるということ。
ソレは、つまり主の体を蝕んでいるものの原因が此処にあるということだ。
「主、唯一度だけ誓いを破ることをお許しください」
我らのコアだけでは、蒐集完成は不可能。ならば、約束を破り蒐集をしなければ。
闇の書を完成させ、主はやての御体を一刻も早く。
(あの笑顔を曇らせたくはない。主はやて、この不忠のお詫びは必ず)
蒐集の最終段階になれば、私は私のコアを闇の書に差し出す心算だ。
そして、ソレを主に対する不忠の詫びにする。
(私のコアなど、詫びになるかすらもわからぬがな)
自嘲する。主はやてに不自由な生活を強いているのが我らだと。
家族と呼んでくれる主には悪いが、我らこそ根本たる原因なのだと。
「いいのかよ、シグナム」
「ヴィータか………今はこれが最善の方法だろう」
「本気なのか?」
「何、主に不忠を詫びるだけだ」
「だからってよぅ」
「我らが総て消滅すれば或いは、主の御体は治るかもしれない」
「家族を犠牲にしてまで、はやて喜ぶんか?」
「御怒りになるか、嘆かれるかはわからんがな。それでも、主のお体のためだ」
「何で、こんなことになっちまったんだ」
「ヴィータ」
私とて、家族同然に思っていただいたこの身を消すのは忍びない。
だが、主はやてが闇の書の真の主になられたとき私は再び此の世に見えるだろう。
(主、必ずや)
主のお体のためだ。お体を治すための蒐集だ。
しかし、主が生きるであろうコレからの道を血で汚すわけには行かない。
今代では、決して人を殺すことはない。加減を知るいい機会にもなる。
「主はやて」
名を紡ぐだけで、暖かな心持なれる。あの主を失えば正気ではいられないだろう。
(可笑しな話だな、今まで何一つとして恐れを抱かなかった私が)
幾先年、闇の書の一部としていた。高々、数ヶ月の年月で総てを変えたのはあの幼き主。
『喪いたくない』その理念に基づき我らは、蒐集を開始する。







10



「シグナムが行方不明に?」
「はい、はやてちゃん」
そう、やっと闇の書の件が片付いて平穏を取り戻しつつあった八神家に激震が走った。
「何処行ったん?」
「ソレが、探索魔法でも割り出せなくて………」
シャマルが得意の魔法で探し出そうとするも、何故か見つからない。
他の世界に飛んだのかと思ったが、そうでもないらしい。ソファで項垂れる。
「なぁ、はやて」
「何や?ヴィータ」
「あのよぅ………シグナムのやつ………」
「居場所しっとるん?」
「闇の書の蒐集の時にあいつ『不忠を詫び一人で逝く心算』って言ったんだ」
ヴィータが聴いた、シグナムの決意は闇の書の件が終わった今忘れられていたもの。
行方不明と聴いて、真っ先にヴィータが思い出したのは件の彼女の台詞である。
「逝くって」
「シグナムは、騎士の誇りを捨ててまではやてちゃんを護ろうとしていました」
「アイツのことだから、はやてを守れなかったって気にしているのかもしれない」
「せやけど………」
私は、リインフォースだけではなくシグナムまで喪ってしまうのか。
まだ外は雪が降っている。そうリインフォースが逝った時のように。
「いやや、もう誰も喪いたない。一緒に居るんやって家族やってそう言うたんに」
もう二度と私を見てくれることも私が彼女を見ることも叶わないのか。
もう二度と言葉を交わすことも、その体に触れることもないのではないか。
「はやてちゃん、シグナムも言ってましたよ『喪いたくないのだ』って」
「やったら、何でや」
「戸惑っているのだと思います。シグナムは」
「………戸惑う?」
「そう、主に恵まれてこなかった私たちを家族と呼んでくれたのは貴女が最初です」
「ソレは、前も聞いたよ」
だから、私は彼女達ヴォルケンリッターの衣食住の面倒を見ると決めたのだ。
家族になれて、嬉しかったのだけど戸惑ったのは私も同じだ。
「将は、恐れていたのではないでしょうか」
「きっと、そうね」
烈火の将が何を恐れるというのか。一騎当千の戦騎が何に恐れをなすというのか。
「主を失い、その温かさをも喪うことを」
「家族を己の身勝手な考えで喪ってしまうかもしれないという恐怖を」
「………あ………」
そうだ、何時だって怖かった。自分の周りで何が起こっているかもわからずに。
蒐集をしていることも知らずに、皆が出かけていくことに。
帰ってこないのではないかと、一人脅え。闇の書がそのたびに、頬を摺り寄せてきた。
「一人は、いやや」
「はやて」
考えただけでも恐ろしい、孤独には慣れていた心算だったのに。
「もう、一人にはなりたない」
「はやてちゃん」
本から人が出てくるという椿事から始まった、似非家族。それでも………
「お願いや、もう一人も欠けることなく私の傍に居ってや」
「主」
ソレでもいい。二度と一人も欠けることなく、傍にいて欲しいというのはわがままか。
「「「御心の儘に」」」
そう言って、三人は微笑むけどシグナムが其処にいない。
私たちは、5人で家族なのだ。なのに、シグナムは帰ってこない。
「シャマル、探索魔法の大きいの使って」
「わかりました」
見つかるかどうかは判らない。だけど、そのままだ何て絶対に嫌だから。
「ヴィータ、私の車椅子もって来てくれへん?」
「良いけど、外大雪だぞ?」
「大丈夫や」
シグナムは、この街に居る。だったら、探せばいいのだ。
私は車椅子に座り、思い当たるところを周ってみようと一人外にでた。
「ハァ、何をしているのだ。私は」
闇の書の件のあと、不忠を詫びて逝く心算だったが如何にも気が弱る。
「リインフォース」
闇の書の中で、眠り続けた管制人格。主の名を与えられ、自由を得たはずなのに。
翌日には、主に害なすことを恐れ自らの消滅を願い出た。
そのときの、主の顔が忘れられずに私を未だ此処に閉じ込めているのだ。
そう、リインフォースが逝ったこの丘で。もう随分と躯が冷えてしまった。
「お前は、仕合せで逝けたのか?リインフォース」
リインフォースの逝き様は如何有っても主に害成すものになるとの暗示のようで。
闇の書の同体たる私たちも同じなのではないかと危惧させる。
「私は未だ、此処で主と共に生きていてもいいのか?」
騎士の誇りを捨て、主を護るためだけに蒐集を行い。
私たちが望んだこととは言え、結末は如何だ。
闇の書は、その力を無くしリインフォースは亡くなった。
「何もかもを、喪ったではないか」
護るべき主と、護るべき仲間の為に、剣を揮って今まで来た。
今代で人の命を奪うことはしなかったが、過去には多くを殺めてきた。
幾ら、戦火の中にいて己を危ぶむからとは言え犯罪に違いない。
「主はやて」
触れてもよいのだろうか。このように血塗られた手で、優しいあの御方に。
「シグナム!!」
どうやら幻聴まで聞こえ出してきた。さて、この後を如何にするか。
絆が薄れたとは言え、なくなったわけではない。遅かれ早かれ見つかるだろう。
「少々、帰りづらいな」
「帰ってきぃ」
又、聴こえる。一体私はどれ程主の声を聞きたいと願っているのかと苦笑させる。
「シグナム………探したで」
立ち去ろうと振り返ると、車椅子に乗った主が息を切らせている。
「主はやて」
沈黙が痛い。このまま、騎士甲冑を纏いレヴァンティンで己を殺め許しを請うか。
「シグナム、何で家出したん?」
「家出?」
「そや、一週間も家に帰らんと何処におったん?」
あぁ、もう一週間もたっていたのか。空腹も疲労もないから、判らなかった。
道理で、体が強張って動きにくいわけだ。
「私は、闇の書が完成を迎えるその寸前で私のコアを蒐集させる心算でした」
逸らしたくても主の瞳から目が離せなくて。ポツリポツリと喋る私を主は何も言わずに。
「初めて、己の命をも惜しくないという御方に出会ったことこれは僥倖だと」
ただ、主は真正面から私の瞳を見ているだけだった。
「然し、仮面の男と対峙した時私は主を護れずに逝くのかと己の浅慮を悔やみました」
騎士の誇りを捨ててまで、護ろうとした御方に庇われ護られ。
コレでは、守護騎士だなどとどの口が名乗れるというのか。
「主が闇の書の真たる主に成られたとき、私は恐れを抱きました」
「………私にか?」
呟く主の問いかけには即座の否定を。貴女を恐れることなどは永劫ありはしない。
「違います、主」
「じゃぁ、何を恐れたん?」
「闇の書が、貴女を喰らい尽くし貴女が『八神はやて』ではなくなってしまうことを」
私が生き返ったとて、主が喰らわれては意味もない。
私はそのとき初めて、自らの同体であった闇の書に畏怖の念を感じたのだ。
そうして願った。如何か、主はやてを食らわないでくれと。
「結果、我らは生き返り主は闇の書に喰われずに助かった」
だけれども、私はリインフォースを護りきれなかったのだ。
「私は、ヴォルケンリッターの将としてリインフォースとも良く話をしました」
聴けばいつでも、戦場で生きる我らのことをそして自らの結末を嘆き憂うだけの彼女が。
今代の主になってからは、幼い主のお体を甚く心配していた。
「主、覚えて御出でですか。闇の書が一時期幼子のように主の後を追っていたのを」
「憶えとるよ」
「闇の書の中で、リインフォースは貴方の優しさに触れそして変わった」
私たちもそうだ。主の温かさに出会い、何もかもが変わってしまったのだ。
「シグナム………リインは………」
「リインフォースは仕合せであったのでしょう。主はやてに微かでも会えたこと」
「シグナム」
リインフォースは、幸福な思いを抱えながら逝った。だが、ソレでよかったのだろうか。
彼女の生き残る道は、なかったのか。私たちだけが、主はやての御傍にいても良いのか。
「では、私は何故此処で生きているのでしょうか」
「リインの分も、今までの分も皆で私と幸せに成るためや」
車椅子という不自由な生活をしている主。
闇の書の呪いが解け、お体が健やかになられても我らを必要としてくれるのか。
怖いのだ。コレほどまでの恐怖は、今までに感じたことはない。
「いつか、要らぬと………主に限ってそのようなことはないと思いながらも」
呟く言葉に、項垂れた私に主は毅然とした声を放つ。
「闇の書の主はやてが、命じます」
逃げ出した騎士は、用済みか。リインフォース、お前のところに逝くかもしれない。
だが、ソレでいいではないか。元は不忠を詫び逝く心算だったのだから。
「ヴォルケンリッター、烈火の将シグナム。
私が死ぬまで、私の家族として私から離れないことを誓いなさい」
「………不肖ヴォルケンリッターが烈火の将シグナム。主の御心の侭に」
二度も騎士の誓いを破るわけにはいかない。
私と主はやては、二度目の誓いを交わした。
「さ、帰ろか」
「そうですね、主のお体が冷えてしまいます」
家の中は温かいとは言え、屋外は雪が降りしきるほど寒いのだ。
私は頑丈に出来ているからいいようなものの、主に何かあっては大変なことになる。
「シグナムも何時からここにあったん?」
「おそらくは、家出と称されたその初日からでしょうか」
「って、こんな豪雪の中何してるんよ」
呆れた主の声が、聞こえたが。特に何をしていたわけでもない。
「ただ、只管に今後を如何するかと考えていただけですよ」
「全く、はよ帰ろ。皆心配してるで」
主の車椅子を押しながら、一人で来た丘を二人で後にする。
『私は、お前達ヴォルケンリッターと主に見送られ仕合せだったよ。将』
リインフォースの声が、かすかに聞こえた気がした。
振り返ることはしない。前だけを見て、毅然と立ち向かうのが騎士たるものならば。
「シグナム!!」
家に帰り扉を開けると指して怖くもないが仁王立ちのシャマルが其処に居た。
「シャマル、風呂を暖めてくれないか」
「今まで何処に居たの?はやてちゃんにまで心配かけて」
玄関先で、泣き崩れたシャマルを見ながら我らは存分に人間臭くなったなぁと思う。
まぁ、そうでなければ『八神家』の一員とは名乗れぬのだがな。







11



コレは、リインフォースという名がつく前の彼女との話だ。
「将」
「早起きだな」
未だ日が昇らないうちから鍛錬をしている私以外に起きているものがいたのかと驚愕する。
「何、将には適わない。鍛錬か?」
「あぁ」
一度だけ振り返り、鍛錬に集中していく。
「………すまないな」
「何がだ?」
「聴こえていたのか」
「耳はいいほうでな」
「知っている」
「で?」
彼女が何故、謝ったのか。きっと、今のこの状況に関することだとは容易に想像がつく。
彼女は、わかっているのだ。自分ではどうしようもない不条理なことがあると。
「戦の世とは言え、お前達が怪我をするのを見ているのは忍びない」
「命は取られてない。それで良い」
「そのような問題か?」
「それ以外に何か問題が?」
彼女との問答は、いつも彼女の嘆きから始まった。
シャマルや、ヴィータ、ザフィーラとの会話はどうか知らなかったが。
私と彼女の話の中は常々、軽口の応酬のような様相を呈していた。
「将」
「何だ?」
「何時に成れば、終われるのか」
「跡形もなく消えた時にのみだろう」
「そうか」
真実、ソレは無理なのだ。人間がソレを望む限り、輪廻を周るように仕組まれている。
只一人を主とし、その主亡き後、その力を喪う魔道書が羨ましくないといえば虚偽になる。
「虚しいものだな」
「一人の主に長らく仕えるのが、騎士の本望では在るが」
「すまない」
「気にするな、少なくともお前の所為ではないだろう」
人間が、欲を持つ限り消えることも只一人の主に仕えることも許されないこの身を。
嘆いて、憂いて、悲観して、そうして未だ在り続けるしかない哀れなプログラムたち。
「人になりたい」
「………正気か?」
「人になれば、嘆くだけのこの性も変わるかもしれない」
「良い主に巡り会えば、変わるかもしれないな」
そうして判っているのだ。そのような時など、来るはずもないと。
『この度の主は、歴代最年少か』
「そうだな」
『蒐集を望まないと聴いたが?』
「あぁ、守護騎士の仕事は休んで良いそうだ」
『そうか』
だからこそ、あの日から驚愕すべき事象ばかりで聊か困惑はしている。
『だが、コレでよかったのかもしれない』
蒐集行為をめぐり争いが起こると言うのならば、しないほうがいい。
意思の具現化が出来なくても、本として主の傍らにいることは出来る。
仮初めの名であっても主は、私を呼んでくれるのだよと。彼女は、笑っていた。
「お前の所為ではない」
『だが………』
「お前に主を殺させることはしない。信じて、待っていろ。必ず、完成させる」
だからこそ、彼女にとってその一報は我々以上に信じがたいものだったのだろう。
主はやての体が不自由な原因が、生まれたときから傍にいた己自身であるということに。
『すまない、我が主』
「………」
名前を喩え仮初めの名であっても呼べないのは、何故なのか。
違うのだ。おそらく彼女は『闇の書』などと呼ばれていて良い物ではないと。
そう思う直感が、私が彼女の名を口にすることを憚らせる原因だった。
「将」
「何だ?」
「主を取り込みたくはない」
「そうならない為の蒐集だろう」
彼女が、いつでも嘆くだけの彼女がボロボロと涙を零し願うのだ。
あの心優しき主を、我らにつかの間の平和の享受を赦した主を失いたくないと。
「将………之が、悪夢であればどれ程良いか………」
現実なのだ。蒐集が進むにつれ彼女は、主を取り込むのではないかと恐れを抱いていた。
「………そうだな」
慰めの言葉一つもかけてやれない。心を軽くしてやることも叶わない。
私は、彼女に対して何かをしたいと思ってはいてもソレが出来ないのだ。
戦いにばかり生きてきたこの身を少し恨めしく思った。
「将」
「何だ」
「一目、我が主に会いたいと思うのだがそれを愚かしいと思うか?」
「いいや、思わない」
意思具現化の術は蒐集4百頁以上と、主の承認が必要。
だが、主に内密で行っている蒐集行為なのだ。当然、承認など降りよう筈もない。
「具現化できないぶん、主の傍にいてやってくれ」
彼女にそういうと、彼女はうっすら笑みを見せ解ったと頷いた。
私たちが蒐集に出かけている間の多くは、主と共にいた彼女。
おそらくは、誰よりも主のことを憂いその身を案じた一人だったのだろう。
「主を取り殺さずに済んでよかったよ」
「あぁ」
「将、折り入って頼みがある」
「初めてじゃないか、お前がそんなことを言うのは」
最初で最後の頼みごとが、己を消すことだとは思っても居なかったが。
主を思う気持ちを考慮し、仕方がないと承諾した。
「出来れば、戦世ではない世界でお前と共に有りたかったのだがな」
「何時暴走するかもわからない管制人格をそのままにはしておけないだろう」
彼女の軽口は、得てしてブラックジョークの類のようだ。
「リインフォース………か」
「私の名を呼ぶなどと、初めてではないか。シグナム」
「御互い様だ」
次の日、彼女は我らヴォルケンリッターとなのは、フェイト、主の見守る中旅立った。
「シグナム、私はお前が好きだったよ」
「奇遇だな、私もお前のことを好きだったよ。リインフォース」
なす術もなく、逝かせてしまったことに後悔をしていないといえば嘘に成る。
だが、彼女が仕合せで逝けたとそう思っているのならば不思議とソレでいいと思える。
二度と彼女の名を呼ばないだろうと思ったが、?が生まれるのはもう少し先の話である。







12



(ん?)
何か、肩とわき腹に違和感を覚えた。
引きつるというか、傷が出来てでも居るのだろうか。
(テスタロッサとの模擬戦で、出来たのだろう)
余り深く考えずに、家に帰ることにした。家にはシャマル一人。
「おかえりなさい、シグナム」
「あぁ、帰った」
「そうそう、給湯器が壊れたらしいから皆で銭湯に行くそうよ」
「そうか」
そういえば、近場に大きな風呂屋が出来たと宣伝があったな。
給湯器が壊れた機会に、試してみようというのだろう。
風呂は好きなので、一も二もなくついて行ったのだが………
「シグナム?」
「何だ?」
さぁ、脱衣所で服を脱ごうとした最中にシャマルの訝しげな声。
とりあえず、上だけを脱いでシャマルに向き直る。
「如何したのこれ?」
「何がだ」
シャマルの指しているものがさっぱり解らずに、首を傾げる。
するとシャマルは、小さな手鏡を持ってきて私にそれを教えてくれた。
「蚯蚓腫れになってるけど………」
「あぁ、そうだな」
「何をしたの?」
「今日は、テスタロッサとの模擬戦だが」
思い返してみても、後は書類の為に机に向かっていたのだ。
怪我を負うとしたらコレくらいだ。
「どうやったら、バルディシュで蚯蚓腫れが出来るのよ」
確かに、シャマルの言うことも尤もだった。
では、何で出来たのだろうか………ここ数日の自分の行動を思い起こして。
「あ、もしや」
唐突に思い当たったのだが、その考えを即座に否定する。
「いや、でも」
「何よ?」
言いよどむ。出来た原因が原因なだけに、何も言えはしない。
「この傷は、主はやてがつけられたのだろう」
「何で、其処ではやてちゃんが出てくるの?………って、まさか」
「あぁ、そのまさかだ」
おそらくは、いやほぼ間違いなくあの時につけられたのだろう。
しかし、此処までなるのに気づかなかったのか?
「仲いいのは、良いけど」
シャマルの呆れた顔に何も言えない。
「シャマル、主には内密に」
だが、主には内密にしておかないと主が恥ずかしい思いをされる。
「如何しようかしら………」
考える素振りを見せるのはいいのだが、コレは主の名誉にかかわることだ。
「内密に頼む」
喉元には鞘に納まったままのレヴァンティン。
頼み事ではなく、コレでは脅しているようなものだが。仕方が有るまい。
「わ、わかったわよ。でも、一つだけお願いがあるの」
「あぁ、呑もう」
「ヴィーターちゃんとデートしたいから、今度の休みを聞いておいて」
「あぁ、了解した」
聴くのも、デートに出るのも一向に構わないのだが。
そのたびに、ヴィータが凹んでいるのは知っているのだろうか。
(まぁ、あの分じゃ知らなさそうだな)
隣で、浮かれながらいそいそと風呂に行くシャマルを眺めていたら………
「シャマルのやつ、見たことない顔してる」
主の車椅子を押してきたヴィータが、私に嫉妬のまなざしを向けた。
(Die Liebe ist blind)
御互いに思いあっているのに、気づいていないのは如何なものかと思った。
シャマルとヴィータが、デートだと出かけていった。
「帰りは夜になりますね」
「いってきます」
ふむ、着飾れば可愛らしいものだと考えながら見送っていたら………
同じく見送りに出ていた主はやてにわき腹をつねられた。
「あ、主」
「何や?シグナム」
「痛いです」
「痛くしとるんやから当たり前や」
何を拗ねていらっしゃるのか。同胞なのでそれ以上の感情など何もないのだが。
「シグナムは、乙女心を解ってへん」
「申し開きの仕様がございません」
乙女心とやらを勉強しろとは、シャマルにも言われた言葉なので言い訳など出来なかった。
勿論、言い訳をするつもりなど端からなかったので主の次の言葉を待つ。
「罰として、今日は私と一緒に居ること」
「畏まりました」
では、お茶でも淹れてくるとしようか。
「にしてもヴィータ、凹んで帰って来ぉへんかったらええけど」
「?」
主はやての呟きは、見事に当たり帰宅後凹んでいるヴィータが目撃されることになる。
「ねぇ、相談があるんだけど」
「何だ?」
その夜、ヴィータも主も眠ってしまい居間には私とシャマルが居るのみだ。
「ヴィータちゃん、ずっと上の空だったのよ。今日。何か具合でも悪かったのかしら?」
「そのようには見えなかったが?」
「でも、帰ってくるなり凹んでるし」
おそらくは、出先でシャマルと親子にでも間違われたのだろう。
序に言えば、アレは身長や容姿を気にしすぎる嫌いがある。
「身長の加減で、お前と親子にでも間違われたのが原因だろう」
「親子って・・・でもヴィータちゃんはあの身長だからヴィータちゃんでしょ」
「私は知らん」
「可愛らしいじゃない」
「まぁ、可愛いと形容される容姿では有るだろうな」
「でしょ?今日もね………」
あぁ、そういえばシャマルは随分と可愛いといわれるものが好きだったな。
しかし、何故私が惚気を聞かねばならんのか。
「だって、シグナムくらいだし。話せるの」
「賛辞なら………直接本人に言ってやれ」
呆れてシャマルにそう返すと、シャマルは形容しがたい笑いを見せ私に返す。
「へぇ、はやてちゃんには言ってあげてるんだ」
「何故、其処で主はやてが出てくる」
全くもって、解らないのだが?
「だって、恋人でしょ?」
「私が、そのような賛辞を言う性格だとお前は思っているのか?」
「言いそうもないわね」
元々言葉数は、少ないのだ。主はやてと共に在るときでもそれは変わらない。
おそらくそんな私のことをよくご存知なのだろう。
主はやてと共に在るときは、互いに本を読んでいることが多いのだ。
「口より行動って、前衛の貴方らしいけど………
はやてちゃんはどう思っているのかしらね?」
「聴いたことがないから判らんな」
「言って欲しいなぁと、思ってるかもしれないわよ」
「もし、そうなら善処はする」
「あぁ、良いなぁ」
「何がだ」
「早くヴィータちゃんと恋人になりたいなぁって思って」
結局其の後もシャマルの話を聴いていた。
(何故、私が………)
一晩中、ヴィータの可愛さについて語られてもみてくれ幾ら同胞でも聴くのが嫌になる。
私とシャマルは、朝主たちが居間に下りてきてから漸く自分たちの私室に戻ったのだ。
「シグナム」
「何だ?」
シャマルの次は、ヴィータか。何かに苛立っているようだが。
昨夜のことならお前への惚気を聴いていたからで、断じてお前の思うようなことはない。
「シャマルの奴、何か言ってたか?」
「ん、好きな者と恋仲になりたいそうだが中々思いに気づいてくれんと泣きつかれた」
「一晩中?」
「あぁ、序に言えばその想い人が如何に可愛いかというのを延々と聴いていた」
「誰だよ、そいつ」
「シャマルに直接聴け。私がそれを言うのは、良くないだろう」
「聴けたら、苦労しねぇよ」
お前のことなのだがなぁ。人のことを散々鈍感というが、お前も相当なものだな。
助け舟など、出したくても出せないのだ。シャマルは怒ると怖いのでな。
「気になるのならば、聴いたほうがいいだろ?」
「う、うるせぇ」
「此処で話しているのもなんだ。訓練室にでも行くか?」
今のこのままだと、決着が付かないまま庭で模擬戦が始まりそうで。
第一、私たちは前衛なのだ。鍛錬を怠っては生きていけない。
理由は如何あれ、互いに技量を高めあうのは悪いことではないだろう。
「シャマル、はやて。ちっと出かけてくる」
「お昼までには戻ってきてね」
「わかってる、行くぞ。シグナム」
「なんや、シグナムも行くんか?」
「はい、少し出かけてきます」
「模擬戦やったら、怪我せんようにな」
見事主には、ばれていたようだ。
シャマルとヴィータが出かけるたびにこうなるのである程度は予想されていたみたいだが。
「善処はします」
怪我をしない穏やかな模擬戦が此の世にあるとでも言うのだろうか。
戦いの中で、怪我は付き物だがそれは私もヴィータも承知していることだ。
「レヴァンティン!!」
[了解]
互いのアームドデバイスに準備をさせる。
騎士甲冑をまとって、ヴィータと模擬戦をするのが此処最近の通例ではある。
「アイゼン!!」
[了解]
大体、私たちがどれ程思考を巡らせて考えても参謀のシャマルには追いつかないのだ。
だったら、体を動かして悩みを吹き飛ばすほうが性には合っているだろう私もヴィータも。
「行くぞ!!」
「潰してやる!!」
互いの手の内なら、面白いようにわかる。
長年、同じ目的の為に闘ってきた。今も、同じ目的のために闘う同胞。
決着が付くなど、思いはしないが。時間は忘れないようにしなければならない。
「ヴィータ」
「何だ、シグナム」
「シャマルのことだがな」
ヴィータが「シャマル」の単語に反応し、態勢を崩す。
模擬戦の最中に、想い人が良く相談を持ちかける人間から其の名前が出てはそうなるか。
「あんだよ」
それでも即座に態勢を立て直すところは、見事といったところか。
「好きなのか?」
「わ、悪いか!!」
直球過ぎたか、顔から火が出そうなほどに真っ赤にしたヴィータが襲い掛かってくる。
うむ。主にも「シグナムの言葉は直球過ぎる」とよく言われるのだが………
「誰も悪いなどとは言ってないだろう」
「だけどよぉ」
「後方支援型のシャマルと違い私たちは戦闘で命を落とすことも在る前衛だ」
「そんなことにはならねぇ」
確証がもてるのか?今は未だ己より強い相手がいないだけではないのか。
何れ、深く傷つき想い人を悲しませるのではないか。頭を過ぎる何時ものこと。
「だから、私たちは何が遭っても傷つくことは赦されない。
 傷ついたことを隠すくらいの気概でいないと、想い人を悲しませる」
其の隠し事で、想い人が更に傷つくことになっても護るためのことなのだ。
「傷つかねぇ為の訓練だろうが」
「まぁ、そう言う事だ」
だから、近接最強と謳われるベルカの騎士の名において負けることなどは赦されない。
「負けは即ち死に繋がる」
「………あぁ、シャマルは闘う力あんま持ってねぇから」
少し前の私と同じ顔をしている。想いを打ち明けるか隠し通すかで悩んでいた頃の。
「心配か?」
「心配して何が悪い」
「悪いとは言ってないだろ。普段からシャマルにもそれを伝えてやれば良いのだ」
「出来たら苦労しねぇってんのに!!」
全く、私たちは近接なだけではなくこのようなところまで似ているのか。
「逃げるのか?」
「逃げてるんじゃねぇ!!」
では、脅えているのか?随分人間臭くなったとは思うが、小さい同胞が愉快でならない。
「だったら、生きているうちに想いは伝えろ」
「わかってらぁ!!」
結局、朝から二時間余り模擬戦を繰り広げていたら観戦者が増えていた始末で。
「流石は、シグナムさんとヴィータさんだ」
「休みの日まで出てきて、訓練室を半壊させるとは………見事としか」
休みもなく闘い続けた所為か、少し腹が減ったな。
「ヴィータ、帰るぞ」
「そだな」
満身創痍の体を引き摺り、何事もなかったかのように装って八神家に帰る。
「お帰りなさい」
「あぁ、今帰った」
「たでーま」
「丁度、お昼が出来たところや。手ぇ洗っておいで」
出かけたときと同様に、主はやてとシャマルが出迎えてくれた。
手を洗うために二人で並んで洗面所に向かう。
「うん、うめぇ」
「ほんと?」
「うめぇぞ?」
戻ってきて昼食をとっているとき、シャマルが身を乗り出して尋ねる。
「私が作ったの」
「そっか………おかわり」
ふた皿目を要求した後は無言で食事を取るヴィータ。
シャマルとヴィータが互いの思いに気が付くには少しばかり時間がかかりそうである。
主の怒声で、意識を此方に引き戻した。
「怪我してるやろ、シグナム!!」
「怪我?」
はて、ヴィータとの模擬戦でも怪我などした憶えは終ぞないのだが。
「良いから、傷みせぇ」
「しかし」
このようなところで脱ぐのは流石に、恥ずかしいのですが。
「じゃぁ、部屋いこ」
「かしこまりました」
私の部屋のほうが近いな。主はやてと正面から相対する。
「主、急くのは判るのですが服くらい己で脱ぎます」
「あ、うん、堪忍」
私の服に手を掛け脱がせようとしていたのに、今更何を恥ずかしがっておられるのだ。
上の服を脱ぎ、躯を曝すと背中に回りこんだ主がわき腹近くを指して言う。
「ほら、此処」
「………ぃ………」
「痣になってる」
「放っておいても治りますよ」
「やけど………」
心配してくれるのはありがたいのだが、微妙な手つきで撫でるのは止めて貰いたい所だ。
主は無防備すぎる。私がこのまま押し倒しでもしたら如何するというのか。
私以外にもその無防備な姿を見せているのだろうかと思うと少しばかり複雑だ。
(之が、嫉妬か………)
人間臭くなったと感じると同時に、黙り込んだ主が心配ではある。
「主?」
「振り向かんといて」
「?」
心配になり、振り返ろうとしたら振り返るなという。全く、如何しろというのか。
時間にしておよそ数分、不意に主の手が肩に伸びる。其処にあるのは、蚯蚓腫れの傷。
「シグナム、もしかせんでも之って」
主以外の誰につけられるというのか。主以外を腕の中に収める趣味は私にはない。
「貴方以外の誰かのほうが、良いのですか?」
「そんなんやないけど、痛くないん?」
「はやてから貰うものを痛いと思うわけがない」
「あ、うん」
茹蛸よりも顔の赤い主は、言葉にならずに口をあけるだけ。
「はやて、貴方からこうして貰う傷以外に傷は作りません」
だから安心してくださいというと、主は私に抱きついたまま動かなくなった。
(服を着たいのだが………まぁ、良いか)
結局、私は主が此方に意識を戻されるまで服を着ることが出来なかった。










どうです?さらに悶えましたでしょう?
Rな話とかヤバいですからね。鼻血出ちゃうのでティッシュのご用意を忘れずに(笑


さあ、果たして私は明日に間に合うのか。
もし投下出来たら、その次にR指定な話と100の質問を公開させて頂きますね。
お礼もその時に改めて。



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2010.08.22 / Top↑
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